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【朝凪彩月】時を超えて残る親の一言

知り合いの女性と何気ない会話をしていた時のことです。

その方はお子さんがまだ幼い頃に夫と離婚され、女手一つで二人のお子さんを育ててこられました。

そのお子さんたちも今は40代で、お二人とも結婚されていないそうです。

「私は一生孫には縁がないかもね」と、彼女は寂しそうにつぶやきました。

 

息子さんは独立して暮らしていますが、娘さんとはずっと一緒に暮らしていて、猫と在宅で仕事をしながら自由気ままな生活を送っているそうです。

 

時を超えて残る『あの時の言葉』

「今はフットサルに夢中なの、変わってるでしょう?」

40代の娘さんは、お母さんとは対照的に体格も良く、スポーツが大好きだそうですが、一つだけ、娘さんが子供の頃からずっと言い続けている言葉があるといいます。

 

それは、娘さんが柔道を習いたくてお母さんに言った際、『女の子がやる事じゃないからやめておきなさい』と言われた、という一言です。

 

ところが、お母さんであるその方は、「柔道をやりたいなんて言われた記憶もないし、反対した覚えもないくらいよ」とおっしゃるのです。

 

そして、「私が離婚してしまったこともそう、育て方が良くなかったのよ」と、また切なげにつぶやきました。

 

親子の「記憶の溝」は何を意味するのか

女手一つで必死にお子さんを育ててこられた彼女の姿を想像したら、私もなんだか胸が痛くなりました。

 

それにしても、娘さんが言ったその一言は、どんな思いでお母さんに言い続けているのでしょう。

きっと、本当に柔道がしたくて、そこに情熱を注ぎたかったのに、自分ではどうすることもできない現実と向き合わざるを得なかったのでしょう。

その切実な思いを考えると、また切なくなってしまいました。

 

親からすれば『なんてことない一言』や『覚えてすらいない一言』であったとしても、子供にとっては、情熱を諦めざるを得なかった決定的な一瞬として、記憶に刻まれてしまうことがあります。

 

完璧ではない親と、期待してしまう子供

でも、親だって人間です。

親になったからといって、いきなり子供のことが全てわかるわけではありません。

親も子供を通して成長し、失敗したり悔やんだりするものです。

私にも子供時代があり、親になってみたものの、心はまだ子供のままで成長していない自分に嫌気がさすこともあります。

 

親子の関係は特別です。

子供は親にいろんなことを求めてしまいます。

親だと思うから求めてしまうし、親だからこそ何かしてくれることを期待してしまうのです。

一方、親は親で『子供だから親の願いに応えるべき』と考えてしまいがちです。

 

結局のところ、親も子も、お互いに「一人の人間」として、その時の未熟さや情熱を認め合うことからしか、真の理解は生まれないのかもしれません。

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